春告げ抹茶ホイップ

Visual Computing 2026 に参加してきた

先週の 9 月 8 日~9 月 10 日に Visual Computing 2026 (VC2026) に参加してきました。 その前日の 9 月 7 日に併催されるアニマーレ第 1 回学祭ワークショップにも参加してきました。


Visual Computing (VC)

Visual Computing (VC) は、コンピュータグラフィックス (CG) および関連分野に関する国内最高峰の学術研究シンポジウムです。 未来のCG技術の発表の場として、また産学の垣根を超えた技術者、研究者、クリエイター間の交流の場として、 1993年から開催され、今年で34回目を迎えます。

ということで、VC は国内の大きめな CG の学会です。 「国内最高峰の学術研究シンポジウム」と書かれていてその通りではありますが、それと同時に CG の研究の研究室にいる学生の発表練習の場と CG の研究者の同窓会みたいな性質もあります。 私は今回はポスター発表の発表 1 件とそれから色々な方との交流を目的に参加しています。

私は学生時代に 2019 年と 2020 年 (オンライン)に参加して、そして就職してからは間を 1 年あけて 2022 年以降はずっと参加しています。


初飛行機〜会場まで

今回の会場は北大で北海道でした。 私は関東圏に住んでいるので飛行機で羽田から新千歳まで飛んでいく経路で向かいました。

私は今回はこれが初飛行機でかなりビビっており、めっちゃ時間に余裕を持って空港に到着するようにしてました。

学生時代はコロナ禍で、海外の学会にショートペーパーが通ったがオンラインの発表だったため飛行機に乗る機会がなかったのですよね。 また、高校では修学旅行の無い高校に通っていたので、そちらでも飛行機に乗る機会がなく。 それ以降プライベートでも旅行にあまり行かない人間なので、本当に今まで飛行機に乗ることなく生きてきてました。

前日までに飛行機の乗り方とかをめっちゃ調べてなんの問題もなく飛行機には乗れました。 (前の飛行機の到着が遅れたとかで飛行機の出発時間は 30min くらい遅れましたが……) 飛行機内ではプロジェクトヘイルメアリーの映画を行きと帰りで半分ずつ見て来ました。


札幌駅まで到着したらスーツケースを札幌駅にあるコインロッカーにあずけることで、身軽に初日から学会に参加できて良い感じでした。 学会にスーツケースをゴロゴロ引っ張ってきている人もいたけど、コインロッカーを使うのはおすすめでした。


会場の北大の学術交流会館は札幌駅から歩いて北大に入ってすぐの建物でアクセスもよく綺麗なところでした。


アニマーレワークショップ

VC の前日に開かれるアニマーレというワークショップから参加してきました。 アニメづくりを支える研究開発についてのワークショップだそうです。 参加費無料だし、VC に参加するにも前日入りしないと朝の飛行機では厳しいということもあり前日から北海道には居るのでこちらのワークショップにも参加してきました。

アニマーレのワークショップでは講演が 3 つ、そしてポスターセッション、そしてグループ議論という形でした。


講演 3件

講演では最初に加藤淳さん、次に平澤直、そして最後に須川亜紀子さんの発表でした。

最初の 2 件では色々なお話もありつつ、アニマーレが何を目指しているかについても語られるという感じでした。 昨今はコーディングエージェントなどが出てきてアーティストも UI ツールを自分で作ったりできるようになってきた。 このようにツールを個人レベルで作れるようになったときに、ツールの保守やツール同士の互換性、あるいはツールを作るための基盤の部分など、そういう部分を整えていくことこそアニマーレでやりたいことだという話でした。

互換性とか互換レイヤーを作るとかいう話になると、かなりエンジニアリング的にも大変なことであり高度なことではあるけれども、それをやっていくのは大変そうだなあという感想を個人的に持ちました。

次の 3 件目の発表では女性の権利的な話についても。 現状ではアニメ制作の現場でもより立場の高い意思決定層には男性が多くおり、その不均衡もあるとか。 アニメの表現にしろ、ステレオタイプな女性の役割などが描かれるのではなく、多様な人々を描いたりというのも重要だろうという話。

個人的な感想としては、技術だけでなくこういう視点の人もプロジェクトにいるのは良いことだなあと思いました。 一方で、この手の女性の権利について女性側の視点が重要というのはわかる上で、このような研究をしている人たちの中に、さらにそれらを見る男性の目線が入っているのかも気になりました。 例えば近年アカデミアでは女性枠を作っていくということが、この女性側の権利側の話から出てきていますが、これはこれで議論があることのようです。 女性の面から見て声をあげるというのは重要である一方で、声をあげることによって男性側を必要以上に萎縮させたりするようなことになっていかないか、という観点を研究をしている人たちはどのように考えているのかというのが気になったのですが、今回はちょっとタイミングを逃して質問できず。

この手の女性の権利の話を聞くと、セクハラとかやっているやべーやつがいることとそれを是正することとか、あるいは意思決定層に男性が多くて女性が入っていないことに問題意識があるというのは大変わかる話であり反対する理由もありません。 一方で、男性が意思決定層にいることが問題であるということがことさら取り上げられると、男性である私としては自分が何か意思決定する層に進んだり創作していったとしてもそれが問題ある行為であると見られる可能性があるというのになんか若干負い目のような感じを受けるところがあり。 この息苦しさはこれまで男性優位だったのだから、その優位がなくなっただけであり受け入れるべきものだという話なのか、それともそもそも男性側のこういう声が女性の権利を主張される方々の側にちゃんと見えていないから男性の権力を持つことをネガティブに捉える考え方を無遠慮に表現できてしまっているのか、ということは気になりつつ。

普段は私は完全に技術側の人間で、こういう人文的なことを専門にされている方のお話を聞く機会が少ないので大変興味深かったです。 また次回以降のアニマーレワークショップとかに参加する機会があったら質問内容とかを聞いてみようと思います。


ポスター発表

その後のポスター発表では、講演のアニマーレのやりたいことや女性などの権利問題の話とは変わって、かなり技術系の話が多かったように思います。 VC の前日ということもあって、VC で発表するアニメの CG についての技術研究のポスターをこちらでも喋っている人がいました。 面白い内容も多く興味深かったように思います。

特に Inverse Rig のポスターが興味深く面白いものでした。


グループ議論

最後にグループ議論ということで、その場でグループを分けてアニメの未来とかその他について色々と議論するという話になりました。

今回の参加者全体としては VC の前日ということで技術系の人が多かったように思うが、自分のグループは会計の人とか事務方の人とかもいて多様な人のいるグループでした。

ある程度話し合うことはできましたが、なんかこんな初対面で誰でも参加可能な参加費も無料のワークショップで、いきなり初めましての人とガッツリ議論するというのはなかなか難しく感じました。 ファシリテーターの人も苦労してそうでしたし、自分としてはもっと突っ込んで離してみたいこともありつつ、他の人の話す機会を奪ってひとりで喋ってるわけにもいかず、少しずつみんなでちょっとずつ発言してそれをまとめて発表する感じになりました。

特に生成 AI とかとアニメ制作の話とかも話題に上りつつ、それぞれのバックグラウンドが違うので、それらについてどのように考えているかをすり合わせたりその上で自分がどう感じているかということをとことん議論してみたかったものの、ちょっと今回は難しくて当たり障りのない表面的なことを話すだけにとどまってしまったかなあという感じがしなくもないです。

1 グループの人数が 8 人とか 9 人だったのもちょっと多かったのかもしれない。 もう少し 3~4 人とかだったらディープに話しやすかったのかもしれないが、ちょっと 8 人とかの中で色んな人の意見を聞きながら話を進めようとすると、それぞれが少しずつ話す形になってなかなか議論というよりそれぞれが思っていることを軽く話しただけで終わったなあという感じではありました。

こういう場で、より掘り下げた深掘りした議論を行うためにはどうしたら良いのでしょうかね。


アニマーレワークショップの感想

アニマーレのワークショップの感想としては、アニマーレの目指す基盤となる部分を作るというのを知れたのは大変興味深かったですね。 私自身はアニメ業界の人間ではなく、CG 業界でちょっとだけ個人的にアニメ調の CG とかに興味があるという感じだったので若干場違い感はありましたが、それでも総じて興味深いワークショップだったように思います。


Visual Computing 2026

翌日 9 月 8 日から 9 月 10 日までは VC2026 でした。 こちらも私はフル日程で参加しました。

今回の VC も興味深い研究が色々あり、また知り合いとお話を色々できたので良かったです。

特に私が好きなのはポスター発表セッションで、そこで色々な議論できるのが非常に体験が良いです。 色々な人のポスターを見てそこで議論をしたりする機会は非常に楽しいものです。 また、2 日目には私もポスター発表も行っていたが、そこでも色々なお話をいただけて良かったように思います。


面白かった発表

口頭発表

今回の VC で特に面白かった研究は以下のあたりですかね。

輪郭と透過性を保持した煙のスタイル化シェーディング (Long)

この発表者三浦さんとは懇親会でもお話したが、NPR ノンフォトの研究をしたいというのがモチベだったらしい。 VRChat とかは完全なアニメ調だけでなく環境光も乗ったリッチな NPR 表現が行われておりそういうのに興味があったそう。 しかし、研究テーマにするためにまだちゃんとやられていない領域をやる必要があり、そのため煙についてを既存の NPR の研究をベースに発展させる形でやったという経緯らしいです。

そこでノンフォトの研究は難しいよね、という話で盛り上がった。

Go-with-the-Track: Video Compositing and Motion Control with Point Tracking (Invited)

動画生成系について私は全く詳しくなかったので、ここまでのことが今の技術でできるのだなあというキャッチアップとして勉強になりました。

ポスター発表

ポスターは結構面白いものが多かったので以下に列挙します。

3次Euler B-spline spiralの相対誤差を保証する弧長近似

特定の曲率とかに条件があるスパイラル形状な B-spline について、狐長を計算すると非常に綺麗な形になるので誤差とかも綺麗に保証できる、という話で非常に面白かった。

ピクセル単位のポリゴン三角形分割による解析的アンチエイリアシング

かなり無茶なコンピュートシェーダーぶん回しではあるけれども、面白くはあった。

ユーザの入力形状に基づく骸晶状結晶の生成に関する一実験

結果の絵が綺麗だった。

レンダリングは今回とはあまり関係ないかなと思いつつレンダリングが綺麗だという感想を述べたら、表面の酸化の度合いとかをシミュレーションベースで考慮したりしていてそれをレンダリングにも反映させているとの話だった。 面白い。

Inverse Rig Optimization from Line Drawings

これは初日のアニマーレでも発表されていたやつ。 ユーザーが書いた変形後の輪郭線などに合わせてリグを調整するということで。 やりたいことも面白いし、その手法自体も面白かったです。

GPU Work Graphを用いた陰関数表現からの適応的メッシュ生成法の検討

直近で Work Graphs の行く末が怪しくなり、Work Lists とかそういうもう少し限定的な新しい API に置き換えられるのじゃないかという話があり、それについても話をしたりしました。

真値AOVとモーションベクタに基づく スタイライズド(アニメ調)ニューラルレンダリング ― 手描き的デフォルメと時間的整合性はどこまで両立するか ―

名古屋造形大学の方。技術系ではなく芸術系の大学からということで。 技術的にはまあ確かにちょっと見劣りする感はあったけど、ポスターで議論することでよりよくできるところがある話だったのでポスターで話せたのは非常に良い。

なにより、芸術系の人が来てくれるのが本当に良いことだったように思います。 技術系の人だけでなくアート系の人こそこういう場に来て色々議論できると技術者側としては非常に得るものが大きいので、こういう方が来てくれるのは非常に良いことのように思います。

2Dアニメ風イラストにおけるシェーディング・ハイライト・背景調和を統合した仕上げ支援システムの提案

イラストのキャラクターの髪の毛のハイライト形状をプロシージャル生成してみたいというところから始まった研究らしい。 2D イラストの支援という意味ではまだまだやれることも色々ありそうで面白かった。

3D Gaussian Splattingのラスタライズ状態に基づく特徴線レンダリング

結果がすごい良かった。 ちょっとポスターの場で議論しただけでは、なぜこんなにこの手法でうまく線が出るのかというのはよくわからなかったけど、結果が綺麗に出ていて印象的でした。

Live2Dモデルの擬似的な三次元姿勢の推定に基づく頭部姿勢の制御手法

この発表をしているのはまだ学部生だったらしいが、非常に良い研究だったように思う。 研究の手法もちゃんとしているし、デモのプログラムがものすごいちゃんと動くもものが作られていてすごさを感じた。 研究でやりたいこととかも役に立つものであるように思うし、よくできているなと感心しました。


ポスターは自分がポスター発表すると同日の他のポスターを見に行けないのがちょっと渋いところではある。 アニマーレでは 1 回のポスター発表を A と B の 2 部に分けて、A の時は B のポスターを発表する人も他のポスターを聞きに行けるという感じになっていたので、VC でもそういう風にできないかというのを運営の人に問い合わせておいた。 けどまあ、そうやったところで、同じ日の A もしくは B が同じグループだった人の発表はやっぱり聞けないわけですが……。


特別招待公演2

特に印象に残ったセッションが特別招待公演 2 で、これは大変よかったです。

特別招待公演は、毎年色んな人が呼ばれてくるもので、過去にはシン・ゴジラの制作裏側を聞くことができたりとかもあったように覚えています。

今回は初音ミクの話ともう 1 つが HCI の話ということで。 私にとっては、その後者の招待公演 2 の方がとても印象に残りました。


VC は CG がメインの学会ではあるけれども VR とか AR とかも関わることが多く、また CG の創作支援とかの研究もあるので、結構 HCI 寄りの研究もある学会ではあります。 が、HCI 専門の学会というわけではなく、そんな中でガッツリ HCI の研究について話を聞けたのが面白かった。

以下に発表の話の内容メモとかを書く。 走り書きしたメモを元に書いているので、何か間違いがあるかもしれない。


発表者は過去には五十嵐研にも在籍していて助教や特任講師をやっていた坂本大介さん。 なので私にとってはOBということになりますかね。 今は北大の教授で HCI の研究をやっているようです。

誰のためのデザインという D.A.ノーマンの本を引用しつつ「誰のためのユーザインタフェース」という題での発表だった。

最初は過去の研究事例などの発表でした。

マウスやキーボードでないインタフェースやどんなインタラクションが良いのかを研究している。 人型ロボットとのやりとりの研究や、スマホの文字選択でキャレットを動かすのではなく背景自体を動かすやつとか。

で、これらの研究はデジタルを使える人のその使い道を最大化する研究をしてきた。 しかし、本当にそれだけで良いのだろうか?

コンピュータスキルをちゃんと持っている人々の割合というのを調査した調査が過去にあった。 10 年とか前の調査資料ではあるが、その時点ではコンピュータをちゃんと使える人は 5%くらいで、そもそもコンピュータが使えないという人が 30%くらいいた。 もちろん今はもっと割合が上がっているだろうけど。

で、このちゃんと使えるというのはプログラミングがバリバリできる、みたいな話ではない。 Excel でソートをできるとか、複数ソフトをまたいで作業ができるとか、それだけでトップ 5%である。

この調査では4段階でコンピュータスキルを評価していて、上が使える人で下が全く使えない人という分類だそうだ。 そこそこ使えるレベルの人がメールを探して来て返信できるとかそのくらい。

中には「メールで全員に返信」という機能を理解せずメールを使っているというレベルの人とかもいる。 これはコンピュータの使える度合いが 4 段階のうち下から 1 段階とかではある。 メールで毎回全員に返信せずに個別に返信してくる頭おかしい人がいる、とか思ったことがあるけれど、もしかしたらその人は全員に返信とかそういう機能があることを何も理解できていない人だったという可能性もある、というのは目からウロコ。

そしてそれより下の本当にそもそもメールも何も使えないというレベルの人が 30%もいたという。

今でもスマホを LINE をするためのツールとしてしか使えていない人がいる。 LINE 以外にスマホで調べ物をするとかで検索システムというものがあるというのをわかっていない、検索システムを使ったこともない人がたくさんいる中で、検索システムを改良する研究などのできる人をよりよくする研究ばかりやっていてよいのだろうか?

そういう使えない人向けのインタフェースがあってもよいのではないか?

使える度合いの差があるという意味では ChatGPT とかもそうである。 言語をうまく扱えてタイピングできる人なら色々使えるけど、そもそも物事をやりたいことを言語化するのが得意でない人とかもいる。 そういう人を置いていくようなインタフェースであるとも言える。

全員に同じインタフェースを提供すれば良いのだろうか? Apple の UI のデザインシステムとかもあるが、OS が単一の UI システムだけで作られていてよいのだろうか?

上手に使える人向けのインタフェースだけ研究していてはダメでは? 今までできなかった人をできるようにしていく研究も必要では。

で、この手の研究はお気持ちでこれを作ればよさそうだね、というのを提案するだけでなく、そもそもできない人がどこで詰まっているのかとかもちゃんと理解しないといけないものであるわけで。 人間中心のデザインをちゃんとやっていくためには、そういう人間の課題をちゃんと見ていく必要もある。

ユーザービリティ評価というのをやらないで何か作ってみたとだけいってもそれが価値があるのかわからない。 そのためユーザビリティ評価は大事。

これまで、HCI の研究ではこのユーザビリティ評価に対して、この UI を使うと早く操作を達成できるという類の客観的指標と、そして主観的なアンケート調査とかが行われていた。

この早く達成できるというのが良いことだろうか?

五十嵐先生が HCI のコミュニティで「早くて簡単?」という疑問を投げかけており HCI の分野でも早いのが正義とはいえないという話を最近はしている。 五十嵐先生のはクリエイター向けの UI とかの文脈で、早くて簡単というだけでは多様性が失われるしクリエイターにとっての自由度を残す必要があるという文脈だった。

クリエイター向け UI の文脈ではなかったとしても、早いが正義ではなさそうという話があるという事例を紹介されていた。

去年の CHI 2025 でハンドヘルド HMD の UI を作った話があったらしい。 頭にバンドで固定するのではなく、手でもつ棒の先に目を覆うものがあってそれで HMD をつけるみたいなのがイベントとかでは好まれる。 イベントで毎回頭にかぶってバンドを締めるより、手で持って目に当てがうだけで良いのは気軽ではある。 しかし、この場合に手が 1 本埋まってしまうし、コントローラーを持って操作するというのも難しい。 そんな中で使える操作方法ってなんだろうということを研究した。

物体を選択するのに顔の向きを変えるとか、視線を注視するとか、ハンドジェスチャーとか、そういう物体選択の UI を色々作ってみた。 それを北大にやってくる観光客とかを捕まえて、VR についての全くの初心者でそれこそ VR って何ですか?っていうレベルの人を捕まえて実験して研究してみた。

すると、様々な指標を使ってそれぞれのインタフェースの良さを調べたら全然指標ごとにバラバラな結果になってしまった。 どの UI が良い言えるかが使っている指標によってバラバラで、何が良いかを簡単に言えない状況。

そんな中で操作の自信を持って行えたかという自信度のスコアで見ると、その初心者の人たちにとっては、操作が遅くなる、物体を見つめてインジゲータが 600ms かけて溜まって初めて選択されるというインタフェースが好評だった。 操作速度という意味では選択するためにいちいち注視して待機しないと選択ができないから、操作の速さで測るととても遅いインタフェースだが。 こういう遅いおかげで間違えて選択することもなく、ちゃんと選んでいるということがわかった上で選択がなされるので、思ったとおりに操作できているという感覚を持てる。 ちょっと視線を動かしたり顔を動かすだけで選択されてしまうシステムは、それは慣れると早く操作できるようになるだろうけど、VR とかに全く慣れていない人にとっては誤操作とかのほうが怖くて自信を持った操作にならないということもあり。

つまり遅い方が良いという事例が出てきた。

そしてこれは VR デバイスだし、ということもありそう。 デバイスごとにユーザービリティの計測に使える指標が違うのでは? という話も出てくる。

そもそも UI の操作が早く完了できるという数値で量的に計測できるようになると、数値だけを見るようになってしまい、人間中心デザインにならない。 どうやって計測するかを考えるのも大事だし、既存の計測指標だけを見ていてはダメだね。

計測指標をどうやって作るかも大事な話で、ChatGPT のユーザビリティをどうやって測るのだろうか? こういうのはそもそも数値だけで測れるものではないかもしれない。 応答が正しく操作がすぐにできるだけでなく、応答の性格とかが好ましいかどうかとかもその人にとって良いインタフェースかどうかに影響するだろうし。

というような感じのお話。


さらに会場からの質問で以下のような話があった。

そういう指標すら定かでない状況で UI を作って提案していては、そもそも存在しないターゲットに対する UI を作ってしまうとかないのか?

これに対する回答として以下の通り。

HCI ではそういう失敗事例の色々不思議な UI を提案されるけど結局誰にも使われることなかった UI を作りまくってきた。 でも、その UI が良いのか悪いのかは実際に作ってみて、実際にその被験者に使ってもらうまでわからない。

だから本来ターゲットにしたかった人向けの UI になっていないとか、ターゲットとする人がそもそも存在しないとか、そういう意味がない UI も今後もたくさん作られていくだろうし、それで良いと思う。 そういう失敗というか使い道ない UI もたくさん生まれる中で、良い UI も生まれてきうるだろう、という回答だった。


HCI はそういう使えないインタフェースを作りまくっても良しとするそういう文化があるんだなあというのが印象的。 HCI を傍から見ていると、そんななんだかよく分からない UI を作ってばかりでなんなんだという感じが若干していて、もっと定量的に測れるもので堅実に作っていけばよいのに、俺の考えた最強 UI を登場させたいなら SF 映画とか取っていればよくて、研究ではなくない?みたいに感じたりすることもなくはなかったけど。

そういう文化なのだなあ。 そしてその背後に数値だけでは見れない世界があるという話もあり、人間を中心にしたインタフェースを考えていくとなると、そういう研究スタイルになっていくのだなあという感想。 そういう文化の背景とかを知るとすごい納得感があります。

HCI の分野について、かなりコンピュータ科学から派生した分野でも特殊に感じられていたが、その背後にある人間中心を真摯に考えているからこその、アンケートや主観評価が重要になったりするということなんだなあという HCI の人の考え方が知れたように思う。

さらに、使える人向けの UI だけではダメでは?とか。 今まで考えたことなかった方向性なので大変興味深く思えた。

私はクリエイター向け UI とかに興味があり、だから早くて簡単だけではダメでプロフェッショナルでも満足できる多少難しくても良いから自由度が高く色々作れる UI が良いのでは、という話として早くて簡単で良いのか?という議論を理解していたが。 そういう使える人のプロフェッショナルのための UI だけでなく、そうじゃない方向の HCI というのもあるのだなあと。

ChatGPT でも使えない人はいるというのもそうではある。 以前にコーディング AI の登場で誰でも自分の好きなアプリを作れるようにな世界になってよかったね、ということを述べたことがあった[1]が、これは考えが浅すぎたのかもしれない。 自分がやりたいことを言語化ができる人は確かに色々できるようになったが、それは言語化が得意ではない人というのを見てなさすぎた意見だったのでは。 そういう人をも救うようなそういうことも重要というのは本当にそうだなあと思った次第。 どうやっていけばよいのかはわからないけれども。 ドメインスペシフィックに自分専用の何かを作れる UI というのは、ChatGPT にチャットすればなんでもできるような時代であってもなおそういうものを必要とする人は確かにいるのかもなあとも。

色々と発見のある講演で楽しかったです。


お楽しみ企画など

学会ではあるものの、研究発表以外にも色々と楽しめることがあります。

今年も毎年恒例のスポンサー企業のスタンプラリーも全部回って景品を手に入れました。

1 日目の夜のレセプションのクイズ大会が結構盛り上がっていました。 学生の方は正解数上位の人から商品がもらえるということで、私は学生ではないのでちゃんとした参加者ではなかったですが、横から問題を見て楽しんでいました。 私は一応今回は全問正解できてました。 カプコンさんの問題はかなり難しめで勘で答えたフシはありましたが。 総じて良い問題が多くてよくできていたクイズ大会だったように思います。

2 日目の夜の懇親会でも色々な方とお話できたし、特に私が修士の学生時代に指導教員だった五十嵐健夫先生とも色々お話できて良い時間でした。

私の仕事でも AI が前提になっているという話をしたり、先生の側でも今時は AI 前提で研究とか学生の課題とかも出していかないといけなくてなかなか大変だという話をしました。 学生とかも研究テーマとか研究の進め方を AI に聞いてやっていたりするけど、学生を指導するという意味でどのくらい AI を使っていけばよいのか。

AI を使った上でなお考える必要のある課題とかを授業の課題で出したいけど、そういう課題は作るのも大変だし、とかとか。 今時 AI を研究テーマに入れないと予算もとってくるのが難しいし、とかそのあたりの最近の AI についての話が大いに盛り上がりました。

他の方々とも色々お話できて充実した交流ができたように思います。


北海道のご飯

事前に前職で北海道に住んでいたらしい人から美味しいご飯のお店をおすすめしてもらっており、それらを夕ご飯などでは巡ってきた。

特に美味しかったのは「らーめん 信玄」というラーメン屋。 コク味噌ラーメンとチャーハンを頼んだがとても美味しかった。 列が店の外まで溢れていて 50 分くらい並んだけれども、それに見合う美味しさでした。

あとは回転寿司根室花まるも 1 時間半待ちしてから食べてきた。 確かに美味しい寿司だったわ。

ごはんは上記の長めの時間並んだやつはひとりで食べたけど、それ以外にお昼とか夜ご飯を学会会場内であった人と食べに行くこともできて、そこで交流も色々できてよかった。

上述した他にも色々食べてきて、最終的にスープカレーと海鮮丼とラーメンと寿司を食べれたのでよかったかな。 ジンギスカンを食べる余裕がなかったのはあれだけど、それ以外は食べたいと思っていたものも色々食べれたし、堪能したと言えるだろう感じ。


感想

例年参加しているので、例年通りいろんな人と会って交流できたのは良かった。 またいろんな研究をしている人たちの発表やポスターなどを見ることで 自分の研究へのモチベがかなり高まった。 特にこの研究へのモチベが高まったのは良い話。 今後もお仕事で CG の研究をやることになるが、頑張っていきたいという気持ちになった。

今回は北海道ということで関東圏の学生が気軽に参加できないこともあって参加人数がどうなるかなあと思っていたが、北海道で行ったにしては人も来ていたということみたい。 印象的だったのは北海道の中の情報系の大学とか、いろんな北海道内の学生さんが来ていたことで、地方の方でやることも意味があるなあと感じた次第。

来年は東京近郊で開かれる予定らしく参加もしやすそうなので、来年もまた参加したいと考えているわ。

Series

References

  1. 1. ブログ執筆アプリを用意した