読書記録: 「英語の学び方」入門
「英語の学び方」入門 新多 了 を読みました。

英語を学んでいきたい気持ちだけはあるので。
サクッと 1 日で読めて、英語をやっていくかという気にはなれたので良い本ではあったと思う。
著者の方は第二言語習得についてを専門に研究をしている方だそうで。 本の中で興味深かったことなどを以下にメモしておく。
AI 時代に英語を学ぶ意味として、ツールではないアイデンティティとしての英語という話がされていた。
AI が瞬時に翻訳するような未来にツールとしての英語の価値は下がってしまうかもしれない。 しかし、言語というのは自分でものを考えるときにも使うだろうし、自分の存在を支えるのに言葉は重要である。 新しい言語を学ぶというのは私たちのアイデンティティに根本的変化を促す出来事であると。
異なる言語で分節の違う世界の見方を知るのは面白いことであるし、自分たちの言語に埋め込まれている世界の見方に気がつくこともできる。 今までとは別の世界の見方を手に入れる方法でもあり新しい自分を手に入れるような行為である。
複言語主義という言葉について書かれていた。
個人が複数の言語の「部分的」「複合的」な能力を持つことを重視する姿勢。 完全な言語能力でなくても良いので部分的でもできるのは良いことだという話。 この部分的という部分をできないことをネガティブに捉えるのではなく、できることにまず自信を持てば良いという考え方。 日本語が自由に使え、そして英語が話せないけど読める、という状況はそれだけで複合的な能力を持っていると言える。
これまで英語を学ぶときにお手本にしていたのはアメリカ人やイギリス人の英語母語話者だった。 しかし、実際に英語を使うことが多いのは英語以外の言語を母語とする人たちだったりする。 中国人と日本人がコミュニケーションのために英語を使う場合にネイティブスピーカーから見てその英語がどうであるかということを考えすぎる必要はない。 つまり必ずしもネイティブスピーカーを目指す必要はない。
ネイティブスピーカーを理想のモデルとして、英語ができない自分にコンプレックスを持ち続ける必要はないとのこと。
実際に私も転職でこれまで何も英語をやっていなかったのに職場で英語が必要になって大変なことになっているが、完璧に話せなくても意思疎通を取るところがまず最初の一歩だというのは感じるところではある。
そもそもネイティブスピーカーが英語を手に入れる方法と、第二言語として英語を手に入れる方法は全然違う。 ネイティブスピーカーを目標にしすぎず、複数の言語能力を使える能力「マルチ・コンピタンス」を目指すのが実態に即した目標だろうという話もあり。
必要以上に理想化されたモノリンガルネイティブスピーカーを理想化したり、その尺度で第二言語能力をネイティブスピーカーと比較して優劣を判断することを「モノリンガルバイアス」と呼んだりもする。
これはまあ、英語をこれから勉強するよという人にとって、コンプレックスを抱く結果に終わるのではなく前向きに英語に向き合う良い話だったように思う。
英語学習においてモチベをどう保つかも重要で、そのモチベについても書かれていた。
自分がどういうときにモチベが維持されるのかも考えてみると良い。 私は短期的には実用的な英語が必要ではあるが、そればっかりではなく英語で他の文化圏のものの考え方や捉え方を言葉の使い方から伺い知ることとかを楽しむ法がモチベに繋がりそう。 なにより役に立ちますよと言われてもあまり響かない。 自分が楽しめるかが重要だなあという気がする。 そういう自分がモチベをどこに持つか事態をメタ的に意識して自分の学習をコントロールするのが良い。
学習はバランスよく進めていく必要があるという話もされている。 例えば、第二言語学習は母語習得とは異なるので、母語を学んだときのようにたくさんその言葉を浴びればよくて座学で文法を学ぶ必要はないというものではない。 文法を学ぶのも重要である。 一方でそれだけでもダメで、両方をやっていく必要があるとのこと。
その一例として、座学で学んだ文が実際に使われていることに気がつくことがあるという話が挙げられていた。
「今週は(授業で)「未完了時制」を説明されドリルを行った。とても便利だ!(…)水曜日の夜、Aがカードゲームをしにきた。(…)彼の話には、それまで聴こえてこなかった(あるいは理解できていなかった)「未完了時制」がたくさん使われていることに気づいた。それで、その晩は躊躇することなく自分でたくさんの未完了時制を使ってみた。すごく満足した!」(Schmidt & Frota, 1986より、著者訳)
この気がつくというのは実際にあると感じる。 仕事で英語を喋っている人の話を聞いていると、ここでその表現を使うんだ、という教科書で見たことはあるけど日常的にそうやって使うんだと感じる表現とかがあったりする。 そういう気づきを得るためには、先にその表現についてどこかで座学で学んでいることが役に立つというのはその通り。
英語のドラマを浴びたり、英会話をひたすらやったりだけではダメで、ちゃんと文法とかも学びつつ第二言語として学ぶのが大事という話が繰り返しされており、ためになる。
ということでモチベを保ちつつ座学もやりつつ英会話等もやりつつ、自分が何にモチベを感じるかも認識しながら少しずつ英語をやっていきたいところではある。